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こんにちは!「KRS・828製作工房」ブログ更新担当の中西です。
さて今回は
828のつぶやき~日本と海外の規格の違い~
ということで、日本と海外の規格の違いについて解説!
キッチンカー(フードトラック)は世界中で急速に拡大している移動型ビジネスモデルですが、その設計・製造に関する規格や法的基準は国によって大きく異なります。日本の製造業者が海外へ進出する、または逆に海外仕様車を日本で運用する場合、これらの違いを把握しておくことは極めて重要です。
項目 | 日本 | 海外(米国・EU) |
---|---|---|
許認可機関 | 保健所、運輸局、消防署 | 市・郡レベルの保健局、DMV、建築安全局など |
営業許可制度 | 地域ごとに営業許可取得が必要(都道府県単位) | 都市または州単位で包括的な営業ライセンスを取得 |
車両登録区分 | 特種用途車・貨物車扱い(構造変更申請あり) | 一般商業車扱いが主流(商用車両登録で対応可能) |
日本では自治体ごとに基準が異なり、構造や装備も営業地域に応じて変更が必要ですが、米国では「モバイルビジネスライセンス」一つで広範囲の営業が可能な場合があります。
設備要件 | 日本 | 海外(米国・EU) |
---|---|---|
手洗い・シンク | 二槽シンク+独立手洗いが原則 | 一槽シンクでも可(地域により要件緩和) |
水タンク容量 | 給水100L以上・排水110%以上が一般的 | 給水約75L以上でも可(地域により大差あり) |
内装・床材 | 不燃性・清掃可能素材(ステンレス・FRPなど) | 一部の地域では木材・ビニール床も許容 |
換気設備 | 強制換気+グリスフィルター設置義務 | 換気扇程度の簡易設備でも認可されるケース有り |
特に米国では、「食品の種類・調理方式」によって設備要件が細分化されており、冷蔵のみ/加熱調理あり/フライヤー使用等で許可要件が異なります。
道路運送車両法により、構造変更(特装車)には型式・構造審査が必要。
LPガス機器は消防法に準拠(消火器設置・ガス遮断装置など)。
電気系統もPSE適合やアース処理が求められる。
NFPA(全米防火協会)による「NFPA 96」などの防火基準。
UL規格に準拠した機器使用が主流。
LPガスは屋外専用タンク設置が一般的。接続方式も異なる。
欧米では製造業者が自由に設計できる部分が多く、「ユーザー責任型」の運用が中心。一方、日本は「製造段階から法令適合」が義務であるため、審査対応を見越した設計が必要です。
日本:法令主導型。安全性・衛生性を重視し、許認可審査が厳格。営業地域によって設備変更が必要なことも多い。
海外:実用主義型。機能性を重視し、保健基準も「最小限の衛生を担保できれば可」とする地域もある。
このため、海外製のキッチンカーをそのまま日本で使用するには、構造改修が必須になることが多いです。
キッチンカー製造における日本と海外の規格の違いは、単なる設計上の差ではなく、「行政制度・文化・リスク認識」の違いを反映しています。輸出入や多国間事業を行う製造業者にとって、両方の基準を理解し、柔軟に設計変更できる体制が求められます。
こんにちは!「KRS・828製作工房」ブログ更新担当の中西です。
さて今回は
828のつぶやき~規格~
ということで、それら日本の主な規格について詳細に解説します。
近年、キッチンカー(移動販売車)は、イベントや観光地、都市部のランチ営業などで高い需要を誇る一方で、その製造には多くの規格や法的要件が伴います。製造業者は単なる車両改造ではなく、「食品衛生・構造基準・安全性・車両法規」などの多岐にわたる基準をクリアする必要があります。
キッチンカーは「食品営業施設」として保健所の許可が必要です。製造段階から以下の条件を満たすように設計されなければなりません。
手洗い設備の設置(独立した蛇口+給排水タンク)
給排水タンクの容量(一般的に給水100L以上、排水110%以上)
内装材の防水・清掃性(ステンレス、FRP等)
冷蔵設備と温度管理
二槽シンクの設置(自治体により一槽でも可)
換気扇の装備
虫除け・ほこり除け設計(網戸、スライド扉等)
なお、細かな要件は自治体ごとに異なるため、製造時点で営業エリアの保健所基準を事前に確認することが必須です。
道路運送車両法に基づく保安基準
車体寸法・重量制限(全長12m、全幅2.5m、全高3.8m以内)
灯火類の位置や車幅灯、反射板の設置
移動中の収納機構(飛び出し式カウンターの格納安全性)
ガス設備の固定と遮断装置
電気設備の絶縁とアース処理
火災時の避難性確保(天窓・扉位置等)
製造業者は、JIS D 5004(特装車両の改造基準)や、車両架装業界のガイドラインも参考に構造設計を行います。
キッチンカーは、普通貨物車または特種用途車として登録されます。構造変更を伴う場合は、以下の対応が求められます。
構造変更検査の実施
車検証記載の用途変更(例:貨物→販売用車両)
事業用ナンバー取得(緑ナンバー)のための運送業登録(必要に応じ)
これらの手続きを誤ると、営業許可が下りない・公道走行が違法になるリスクがあります。
ガス機器を搭載する場合は、高圧ガス保安法・液化石油ガス法の規制対象となります。主な規格は以下の通りです。
LPGタンクは耐震固定し、排気口を備える
消火器設置(粉末ABC消火器、2kg以上)
火元から一定距離を保った換気構造
一酸化炭素警報器の設置推奨
構造の安全確認・帳票作成(強度計算、配線図、施工記録など)
営業者向けの設置マニュアルの作成
保健所や陸運局との事前調整サポート
アフターメンテナンスと改修対応
信頼性の高いキッチンカー製造業者とは、これらの規格を理解し、確実にクリアできる設計と施工力を有する事業者です。
キッチンカーは、自由なビジネス展開を可能にする一方、製造段階から法令遵守と規格対応が強く求められる分野です。製造業者は、食品衛生・構造安全・車両基準を包括的に設計に反映し、営業許可取得を支援する役割を果たす必要があります。規格対応に強い製造業者の選定が、キッチンカービジネス成功の第一歩です。