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828のつぶやき~法規適合~

こんにちは!「KRS・828製作工房」ブログ更新担当の中西です。

 

さて今回は

828のつぶやき~法規適合~

 

キッチンカーは「車+厨房+店舗体験」を1台に凝縮した“走るビジネス”。だからこそ法規適合・衛生・安全・販売力の4点を、設計段階で同時に満たすことが成功の分岐点です。本記事は、製作会社/事業者の双方が押さえておきたい基準と設計手順を、現場で使える粒度でまとめた総合ガイドです。


1. 設計の出発点:メニューと運用条件を言語化する

まずはメニューと提供量を確定させ、必要設備を逆算します。

  • 1日の想定提供数(ピーク時の分間提供数も)

  • 調理工程(仕込みの要否/加熱種別/オイル使用の有無)

  • 出店ロケーション(イベント/ランチスポット/商業施設駐車場)

  • 電源(現地電源の有無、静音要件)、水の補給動線、ガスの使用

例)「から揚げ+ポテト+ドリンク(1日250食/ピーク時1分3食)」→二口フライヤー・冷凍/冷蔵・作業台長さ・ラッシングや油受け構造・発電機容量・給排水容量を一式で設計。


2. 食品衛生・営業許可の考え方(全国共通化の“現在地”)

2021年の食品衛生法改正により、移動販売の施設基準は全国で共通化の方向になりました。ただし実務の運用には自治体差が残るため、最終判断は出店地域の保健所に事前相談が鉄則です。キッチンカーならフードトラックカンパニー

2-1. 給排水タンク容量とメニューの関係

多くの自治体では目安として、給水タンク容量に応じて提供できる品目・工程が変わる運用があります(例:40L程度=単一品目、80L/200L程度=複数品目可 等)。一律ではないため管轄保健所で確認しましょう。キッチンカーならフードトラックカンパニーkitchencar.fujicars.jp

2-2. 給水と排水は“同等以上”が原則

東京都の手引き例では「飲用適の給水タンク+同等容量の排水タンク」の設置を求めています。ほか自治体もこの考え方が主流。図面段階で清汚分離・容量・バルブ位置を決めておくと改修を防げます。東京メトロ保険医療情報

実務TIP:保健所検査では、給排水の導線・シンク寸法・冷蔵/冷凍・内装の清掃性などを一体で見られます。設置物の仕様書や写真を添えて事前相談するのが最短ルート。


3. 車両登録と“8ナンバー”の是非

移動販売車は特種用途自動車(移動販売車)=いわゆる8ナンバーで登録されることが一般的ですが、必須ではありません。8ナンバーの主な利点は「設備を載せたまま車検を受けやすい」点。一方で、要件充足やコスト等の検討が必要です(4ナンバー/1ナンバー運用も可能)。所轄の運輸支局で確認して選択しましょう。
※登録区分で税や保険料の取り扱いが変わる場合があります。最新の扱いは運輸支局・税事務所へ。


4. ガス(LPガス)と消防:安全設計の要点

LPガス機器を使う場合は、接続・設置・保管・消火設備が要チェック。

  • 消火器:可搬式でA-4/B-10相当の能力を満たす等、所要性能が定められています(地域運用差あり)。イベント会場等の指示に従い、規格適合品を常備。経済産業省

  • 運用上の基本:ホース接続の確実化、充填時の点検、真夏の車内保管禁止、ボンベ屋外設置の徹底など。alanbox.net

実務TIP:フライヤー使用時は、耐熱板・防滴・油受けトレイを設置し、排気/給気の流路を作る。配線は耐油ケーブルで熱源から離隔を確保。


5. 電源設計:静音・排気・余裕容量が安全と売上に直結

  • 発電機:ピーク消費+30%の余裕で選定。消音ボックス/防振マウント/遮熱板は“現場評価”を左右します。

  • 外部電源:会場電源を使える場合、転換スイッチ(ショア電源切替)で誤給電を防止。

  • バッテリー併用:インバータ+蓄電で待機時は無音運転、ピークのみ発電機で補う設計が有効。


6. 重量・重心・車体構造:走行安全と車検を見据える

  • 厨房機器・水・燃料・人・発電機の総重量左右/前後バランスを積算。

  • 重い機器は車軸近傍&低重心へ。満水時/空時の重心差も考慮。

  • 壁面・床は不燃/難燃材+清掃しやすい仕上げ。機器固定はL字金具+ボルトナットで走行時の動揺を抑える。


7. 衛生動線とHACCP的管理

  • 清汚動線分離(受け渡し口の手前に洗浄エリアを作らない)

  • 二槽シンク+手洗い使い分け色分け(包丁・まな板)

  • 温度管理(庫内温度ログ、加熱後保温、チルド保管)

  • 清掃手順書(営業前後のチェック、薬剤濃度、排水処理)

2021年以降の制度変更により、固定店舗同等の衛生水準が求められます。設計段階から“清掃しやすい構造”で組むのが近道です。厚生労働省


8. レイアウト定石(3パターン)

  1. ワンウェイ動線型:仕込み→加熱→盛付→受渡しを一方向へ。回転率重視。

  2. 対面L型:二口作業で同時進行。メニュー数が多い案件に。

  3. ドリンク分離型:ドリンクを助手席側に分離し、会計・受渡しを分担。


9. 製作フロー(失敗しない順序)

  1. 要件定義(メニュー・提供数・出店先・電源・ガス・水)

  2. 法規・運用の事前相談(保健所/運輸支局/消防)

  3. 基本設計(平面/配線/配管/排気・給気/重量計算)

  4. 製作(配線・配管・断熱・防火・固定)

  5. 自主検査(漏電・漏水・ガス漏れ・排気・振動)

  6. 保健所/車検/消防の手続き

  7. 引渡し&操作教育(点検項目・緊急時手順)


10. 導入後のメンテナンス要点

  • 週次:シンク・排水・トラップ洗浄、フライヤー油交換、発電機点検

  • 月次:配線の被覆・端子焼け、ガスホース亀裂、換気経路の油汚れ

  • 半期:冷媒ガス圧・電装リレー・ブレーキ/タイヤ摩耗、ボディ錆


“通る・売れる・安全”は設計段階の意思決定でほぼ決まります。
メニュー→法規→電源/ガス/水→重量→動線の順に詰め、保健所/運輸支局/消防へ事前相談→図面確定→製作が王道。書類と根拠を整えて進めば、余計な改修コストを劇的に減らせます。